スウェーデンは本当に残業ないの?ワーク・ライフ・バランスとは?残業に対する価値観の違い編
はじめに
ワーク・ライフ・バランスは残業の有り無しではない
スウェーデンだからって残業がないわけではない。
ワーク・ライフ・バランスとは?
スウェーデン風バランスの取り方
合理的な優先順位
スウェーデン人同僚の例え
これはあくまでもパッパの同僚の話ではありますが、ある時人生についてのPriority(優先度)について話していたところ、笑いながらスウェーデン人家庭での優先順位はだいたい決まってるって教えてくれました。その優先順位は以下の通りです。
- 妻
- 子供
- ペット
- 自分(夫)
- 仕事
つまり、例えば仕事で緊急の会議招集があったとしても、家族と約束したデイナーやペットのトレーニングが優先されます。これはちょっと大げさに書いているだけだろうとお思いかもしれませんが、実際パッパがスウェーデンに移住してきて、上司・同僚が同じような価値観を持っていることに驚きました。本当に単純なことですが、家族が一番大切なんです。
おまけ
ちなみに、優先順位1番と2番は理解できるとして、3番のペットと4番の夫が理解に苦しまれる方もいるかと思いますが、愛護精神旺盛なスウェーデンでは、犬などペットには手厚い法律と厳しい罰則あるため、散歩も朝昼晩以上の頻度で付き合わなければいけません。そして、早朝や深夜の散歩となると、大概夫の役目となり、ペットの散歩のほうが夫の睡眠不足よりも大切であるため、上記のような優先順位となってしまったのではないかと思われます。もちろん、パッパの同僚のスウェーデン人の特例という可能性もなきにしろあらずですが。
残業の価値観
日本人からみた残業
バランス感覚に優れたスウェーデン人が残業をする人に持つ印象についてお話します。最近の日本の「働き方改革」で改善が見え始めているかと思いますが、日本には根強く残業をする人=仕事に対して熱心な人、できる人というイメージがあるかと思います。実際、パッパも日本にいるときはそんな幻想を抱いており、「忙しいんだよねぇ」なんて言って自分が求められていること、そして仕事がたくさんあることを自慢げに言っていた”ような”気がします。では、スウェーデン人から見た残業をする人はどんな風に見えるのでしょうか?
スウェーデン人からみた残業
スウェーデンでは、会社としても上司としても残業自体が評価されません。過度に残業している部下に対して上司は以下のように思うそうです。なお、これらの情報はあくまでもパッパの個人的に得た心象です。
- 与えた仕事を計画的に遂行できていない。
- 仕事の後に一緒に楽しめるプライベートな仲間がいない=コミュニケーションに問題あり
そして、そんな残業ばかりする部下をもつ上司に対して会社は以下のように思うそうです。
- 部下の業務に関する管理能力に欠ける
- 部下とのコミュニケーション不足
- 従業員の健康に対する管理不足
残業や合理性に対する外国人と日本人の違い
パッパは日本在住時にもよく外国人と仕事をしていましたが、その際も同じような質問を受けたことがあります。
パッパさん、なぜ毎週お客様のオフィスに会議に行かなければいけないの?
だって、定例会議だもん。
だけど、議題とか特にないですよね。
そうだね。話すことがないのが確かだけど、だからって顔を見せないわけにもいかないのが日本なんだよ。
んー、わかりません。まったく合理的でありませんよ。それに、今進捗が思わしくないのも、元々スケジュールに無理があるからですよね。
んー、確かに。それは否めないよね。だから、みんな頑張って残業してなんとか巻き返そうとしてるんだけどね。
それはおかしいと思います。残業はリラックスしたり寝たりする時間を削らなければいけないじゃないですか?それは、結局次の仕事の質を下げてしまって、効率的ではありません。
わかる、わかるよ。だけどさぁ
このフランス人の同僚は非合理的なことはやめて、やるべきことだけに集中しよう。そして、無理なスケジュールで推し進めても、仕事の質は伴わないので、スケジュール自体を見直すべきと客先へ行く電車の中でずっと語っていました。あの当時のパッパは彼の言うことはわかるけど、日本のお客様の心象などを考慮して、受け入れることができませんでした。今なら…自分も同じことを言いそうな気がします。
残業指示にあたなはどうする?
優先順位がしっかりしていて、残業を美化していなくても残業が発生するのが仕事です。時には会社や上司から残業の指示が飛んでくることもあるでしょう。そんなときの日本人とスウェーデン人との違いについて説明します。
日本人(パッパ)の残業指示に対する対応
パッパが日本にいた時には、業務量が多い指示を受けた場合には、上司と協議することもありますが、とはいえ最終的には「個人的に対処」するのが当たり前でした。だらだらと指示された業務をした覚えはありませんが、与えられた業務を完璧に遂行するために、可能な限り時間を費やして完璧な資料や議論を行っていたのが日本在住時のパッパです。そして、そのためには日付が変わるほどの残業の毎日や、休日出勤も止むを得ませんでした。
スウェーデン人の残業指示に対する対応
ワーク・ライフ・バランスにおける突発的な問題の対処
主な残業増加傾向の人々
スウェーデンのようにワーク・ライフ・バランスしっかりと認知されている社会でも、パッパの会社では残業が多いポジションが垣間見れます。それは、やはり上のポジションでしょう。実際パッパの上司には、全世界に配信されている製品の責任者がおり、世界中から色々な依頼が飛んできます。グローバルな会社だからこそ、非常に遣り甲斐があり、世界という広い視野で見える力を得ると同時に、世界と直面しないといけない責任の重大さにいつも驚かされます。
合理性と優先順位は日本の救世主なのか?
スウエーデンで尊重される合理性と明確な優先順位は確かに残業という負のスパイラルを断ち切る救世主のように思われるかもしれませんが、果たしてすべての状況において、そうなのでしょうか?
パッパの主観的な思いですが、この考え方は時としてお客様の要望にそぐわないことが多々あります。仕事をしていて、重要かつ緊急な問題はつきものです。そして、その問題は1つとは限りません。時には重要かつ緊急な問題が複数同時に発生をして、お客様からすればすべてが最優先事項でしょう。しかし、合理性と優先順位を尊重するスウェーデンの文化では、時にそんな異常事態でも納得するまで合理的な理由、そして優先順位を求めてきます。
パッパにも同じような経験は日本在住時にも、ここスウェーデンでもあります。「あれも」「これも」最優先事項です、だから対応をお願いしますっと言っても、まず聞き入れられることはないでしょう。合理的な「なぜ重要なのか?なぜ緊急なのか?」、そして明確な優先順位がなければ、話が進みません。
こんな状況に、スウェーデンと仕事をされた方々からは「融通がきかない」と思われ、挙句の果てに「問題処理の速度が遅い」「危機感がない」などレッテルを張られてしまうことになります。
どんな文化や働き方にも一長一短があるとは思いますが、このスウェーデン式の合理性と優先順位は少なくとも日本の働き方を変えるきっかけにはなると思いますが、必ずしもこの文化を日本に取り入れたからといって、残業が無くなり、すべての人がハッピーになるとは限らないと思います。
まとめ
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