スウェーデンは本当に残業ないの?ワーク・ライフ・バランスとは?残業に対する価値観の違い編

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スウェーデンは本当に残業ないの?ワーク・ライフ・バランスとは?残業に対する価値観の違い編

はじめに

前回の「スウェーデンは本当に残業ないの?グローバルな統計値と日本とスウェーデンの実労働時間比較編」に続く第二弾となります。
今回は、労働時間が短く、残業の少ないスウェーデンが取り組んでいるワーク・ライフ・バランスについてです。ワーク・ライフ・バランスとはなんなのか?ワーク・ライフ・バランスがしっかりすれば残業は無くなるのか?残業に対する価値観を日本とスウェーデンの視点からお伝えできればと思います。

ワーク・ライフ・バランスは残業の有り無しではない

スウェーデンだからって残業がないわけではない。

前回パッパの実労働時間を使った日本とスウェーデンの働く時間を比較してみました。たぶん、皆さんはスウェーデンに移住したパッパだから、残業はゼロだろうと思われたのではないでしょうか?残念ながら、現実はそうでもありません。もちろん、人それぞれ、業界やポジションにより労働時間や残業時間は異なりますが、必ずしも海外の企業で仕事をする人たちがまったく残業がないという都市伝説はないことをお分かり頂けたかと思います。
しかし、たとえ残業しなければいけない状況になったとしても、スウェーデンには柔軟かつ認知された文化として、仕事と私生活のバランスを取ることができています。さて、そのワーク・ライフ・バランスとは一体何なのでしょうか?

ワーク・ライフ・バランスとは?

本来、ワーク・ライフ・バランスとは残業時間どうのこうのではなく、仕事と生活のバランスが取れていることを指します。仕事というのは非常に大切なものです、何しろ給料をもらえるからですが、プラスして仕事にやりがいや生きがいを見出すこともまた大切な要素です。しかし、給料ややりがいや生きがいだけでは生きていけないのが人間です。それらに極端に執着してしまうことで、他の生活が犠牲になっていないでしょうか?そして、その最たるが長時間労働であるがために、よく議論されているのでしょう。
スウェーデンは確かに経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で労働時間の短い国の1つとして挙げられましたが、パッパの実際の労働時間からもわかる通り、ある程度の残業は発生します。もちろん、その人のポジションであったり、仕事の状況によって変動することは確かですが、生活を脅かさない程度の残業であれば、ここスウェーデンでもみんな頑張って仕事をしています。そして、仕事に私生活を「脅かされない」ためにスウェーデンでは、絶妙なバランス力で仕事と生活を均等に保っているからこそ、ワーク・ライフ・バランスが成り立っているのだと思います。次章では、そのスウェーデン社会におけるバランスの取り方についてです。

スウェーデン風バランスの取り方

合理的な優先順位

ここまでで、スウェーデンだからといっても残業がまったくないわけじゃないことをご理解頂けたかと思います。そして、残業があったとしても、日々の生活に支障がでないように絶妙なバランスを維持できるのがスウェーデン社会です。
そのバランスの取り方は色々な説明の仕方があると思いますが、パッパから見るとスウェーデン人は合理的に物事に優先度を付けることで、仕事と生活のバランスを保っていると思います。

スウェーデン人同僚の例え

これはあくまでもパッパの同僚の話ではありますが、ある時人生についてのPriority(優先度)について話していたところ、笑いながらスウェーデン人家庭での優先順位はだいたい決まってるって教えてくれました。その優先順位は以下の通りです。

  1. 子供
  2. ペット
  3. 自分(夫)
  4. 仕事

つまり、例えば仕事で緊急の会議招集があったとしても、家族と約束したデイナーやペットのトレーニングが優先されます。これはちょっと大げさに書いているだけだろうとお思いかもしれませんが、実際パッパがスウェーデンに移住してきて、上司・同僚が同じような価値観を持っていることに驚きました。本当に単純なことですが、家族が一番大切なんです。

おまけ

ちなみに、優先順位1番と2番は理解できるとして、3番のペットと4番の夫が理解に苦しまれる方もいるかと思いますが、愛護精神旺盛なスウェーデンでは、犬などペットには手厚い法律と厳しい罰則あるため、散歩も朝昼晩以上の頻度で付き合わなければいけません。そして、早朝や深夜の散歩となると、大概夫の役目となり、ペットの散歩のほうが夫の睡眠不足よりも大切であるため、上記のような優先順位となってしまったのではないかと思われます。もちろん、パッパの同僚のスウェーデン人の特例という可能性もなきにしろあらずですが。

残業の価値観

日本人からみた残業

バランス感覚に優れたスウェーデン人が残業をする人に持つ印象についてお話します。最近の日本の「働き方改革」で改善が見え始めているかと思いますが、日本には根強く残業をする人=仕事に対して熱心な人、できる人というイメージがあるかと思います。実際、パッパも日本にいるときはそんな幻想を抱いており、「忙しいんだよねぇ」なんて言って自分が求められていること、そして仕事がたくさんあることを自慢げに言っていた”ような”気がします。では、スウェーデン人から見た残業をする人はどんな風に見えるのでしょうか?

スウェーデン人からみた残業

スウェーデンでは、会社としても上司としても残業自体が評価されません。過度に残業している部下に対して上司は以下のように思うそうです。なお、これらの情報はあくまでもパッパの個人的に得た心象です。

  • 与えた仕事を計画的に遂行できていない。
  • 仕事の後に一緒に楽しめるプライベートな仲間がいない=コミュニケーションに問題あり

そして、そんな残業ばかりする部下をもつ上司に対して会社は以下のように思うそうです。

  • 部下の業務に関する管理能力に欠ける
  • 部下とのコミュニケーション不足
  • 従業員の健康に対する管理不足

残業や合理性に対する外国人と日本人の違い

パッパは日本在住時にもよく外国人と仕事をしていましたが、その際も同じような質問を受けたことがあります。

フランス人
フランス人

パッパさん、なぜ毎週お客様のオフィスに会議に行かなければいけないの?

パッパ
パッパ

だって、定例会議だもん。

フランス人
フランス人

だけど、議題とか特にないですよね。

パッパ
パッパ

そうだね。話すことがないのが確かだけど、だからって顔を見せないわけにもいかないのが日本なんだよ。

フランス人
フランス人

んー、わかりません。まったく合理的でありませんよ。それに、今進捗が思わしくないのも、元々スケジュールに無理があるからですよね。

パッパ
パッパ

んー、確かに。それは否めないよね。だから、みんな頑張って残業してなんとか巻き返そうとしてるんだけどね。

フランス人
フランス人

それはおかしいと思います。残業はリラックスしたり寝たりする時間を削らなければいけないじゃないですか?それは、結局次の仕事の質を下げてしまって、効率的ではありません。

パッパ
パッパ

わかる、わかるよ。だけどさぁ

このフランス人の同僚は非合理的なことはやめて、やるべきことだけに集中しよう。そして、無理なスケジュールで推し進めても、仕事の質は伴わないので、スケジュール自体を見直すべきと客先へ行く電車の中でずっと語っていました。あの当時のパッパは彼の言うことはわかるけど、日本のお客様の心象などを考慮して、受け入れることができませんでした。今なら…自分も同じことを言いそうな気がします。

残業指示にあたなはどうする?

優先順位がしっかりしていて、残業を美化していなくても残業が発生するのが仕事です。時には会社や上司から残業の指示が飛んでくることもあるでしょう。そんなときの日本人とスウェーデン人との違いについて説明します。

日本人(パッパ)の残業指示に対する対応

パッパが日本にいた時には、業務量が多い指示を受けた場合には、上司と協議することもありますが、とはいえ最終的には「個人的に対処」するのが当たり前でした。だらだらと指示された業務をした覚えはありませんが、与えられた業務を完璧に遂行するために、可能な限り時間を費やして完璧な資料や議論を行っていたのが日本在住時のパッパです。そして、そのためには日付が変わるほどの残業の毎日や、休日出勤も止むを得ませんでした。

スウェーデン人の残業指示に対する対応

スウェーデンの会社でとても所定労働時間ではこなせない業務を指示された場合、スウェーデン人は承諾はしますが、条件を付けます。ここが本当スウェーデン人の上手なところですが、いつも答えは「YES」なのですが(少なくとも「No」ではない)、必ず条件は付けられて、その条件が通る場合にのみ業務を行います。(もちろん、すべてのスウェーデン人が同じというわけではありませんので、悪しからず)
その条件についですが、例えば非常に大量の業務を上司に指示された場合には、まずは上司に相談をしてサポートを付けてもらう、もしくは一部の業務を他の同僚に振り分けるなどして「会社として対処」してもらいます。もしそれでも同時に行わなければいけない業務が多数ある場合には、上司に対して各業務の優先度を定義してもらい、その優先度に応じて業務を行います。もちろん、この場合労働時間は定時が当たり前であり、残業は前提になっていません。

ワーク・ライフ・バランスにおける突発的な問題の対処

業界やポジションにもよりますが、仕事に突発的な問題はつきものです。では、スウェーデン人はワーク・ライフ・バランスを重要視しているから、緊急かつ重要な問題が発生しても何もしないで家に帰るのでしょうか?いえ、仕事をします。そこはやはり製品やサービスを提供している会社として、時に緊急の会議や対応が求められることは確かです。
実際、スウェーデンの1年の中で最もと重要な休暇ともいえる、クリスマスシーズン中に事業部長レベルから会議招集があり、自宅から電話会議に出たり、週末に在宅の仕事をしたこともあります。どんなにワーク・ライフ・バランスがしっかりしていても、やはりお客様を相手にしている以上、そのお客様の要求に答えなければいけない状況下では、残業や休日作業は避けては通れないのも実情です。

主な残業増加傾向の人々

スウェーデンのようにワーク・ライフ・バランスしっかりと認知されている社会でも、パッパの会社では残業が多いポジションが垣間見れます。それは、やはり上のポジションでしょう。実際パッパの上司には、全世界に配信されている製品の責任者がおり、世界中から色々な依頼が飛んできます。グローバルな会社だからこそ、非常に遣り甲斐があり、世界という広い視野で見える力を得ると同時に、世界と直面しないといけない責任の重大さにいつも驚かされます。

合理性と優先順位は日本の救世主なのか?

スウエーデンで尊重される合理性と明確な優先順位は確かに残業という負のスパイラルを断ち切る救世主のように思われるかもしれませんが、果たしてすべての状況において、そうなのでしょうか?

パッパの主観的な思いですが、この考え方は時としてお客様の要望にそぐわないことが多々あります。仕事をしていて、重要かつ緊急な問題はつきものです。そして、その問題は1つとは限りません。時には重要かつ緊急な問題が複数同時に発生をして、お客様からすればすべてが最優先事項でしょう。しかし、合理性と優先順位を尊重するスウェーデンの文化では、時にそんな異常事態でも納得するまで合理的な理由、そして優先順位を求めてきます。

パッパにも同じような経験は日本在住時にも、ここスウェーデンでもあります。「あれも」「これも」最優先事項です、だから対応をお願いしますっと言っても、まず聞き入れられることはないでしょう。合理的な「なぜ重要なのか?なぜ緊急なのか?」、そして明確な優先順位がなければ、話が進みません。

こんな状況に、スウェーデンと仕事をされた方々からは「融通がきかない」と思われ、挙句の果てに「問題処理の速度が遅い」「危機感がない」などレッテルを張られてしまうことになります。

どんな文化や働き方にも一長一短があるとは思いますが、このスウェーデン式の合理性と優先順位は少なくとも日本の働き方を変えるきっかけにはなると思いますが、必ずしもこの文化を日本に取り入れたからといって、残業が無くなり、すべての人がハッピーになるとは限らないと思います。

まとめ

今回の「スウェーデンは本当に残業がないの?」シリーズを読んでいただきありがとうございました。「海外の会社は残業がない」「海外は仕事が忙しくない」「海外は休暇・週末ゆっくりできる」などよくステレオタイプな台詞をずっと聞き続けていたため、今まで溜まりに溜まった鬱憤をこの長文で晴らさせて頂きました。もちろん、日本在住時のパッパの激務と比べれば、否めない点もありますが。
海外転職したからといって、残業がなくなるわけではありません。お客様がいて、何かしらか製品なりサービスを提供しているからこそ、多少の残業もあるでしょう。緊急時に迅速に対応できるのも会社として信頼度が増す大切な一つのサービスなのですから。しかし、仕事がすべてではないのも確かであり、一個人として残業と私生活との間で取れるバランス力が大切になります。
スウェーデンと日本は文化的にも共通点が多いと言われていますが、残業に対する価値観であったり、ワーク・ライフ・バランスは文化的背景や社会・周りの人たちの理解で成り立っているため、そのまま土足で日本に持ち込むことが難しいと思います。しかし、最終的に何を求めて仕事をしているのかを考えた時、動機と行動が一つになって、より充実した仕事と私生活を楽しめるのではないでしょうか。

 

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