スウェーデンの車事情

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スウェーデンの車事情

はじめ

現在パッパはスウェーデンで初の愛車探しのため、日々ネットサーフィンと同僚への聞き取り調査を行っています。今回はそんなスウェーデンならではの車事情について書いてみます。正直、こんなマイナーなトピックを読んでくださる方は本当に希少だと思いますが、もしお暇であればぜひ最後までお付き合いください。

ボルボを生んだ国スウエーデン

生まれはスウェーデンだけど、今は中国

昨今の北欧ブームもあってか、スウェーデンといえば?という質問にIKEAやH&M、Spotifyなんかをイメージされる方は多いのではないかと思います。パッパも移住前までは同じようなもんでしたが、やっぱりスウェーデンと言えば「ボルボ」というイメージが非常に強いのは、男の性でしょう。
スウェーデンに来て憧れのボルボの話を同僚とすると必ず定番のジョークが出てきます。それは、「ボルボはスウェーデンじゃなくて、中国だよ」です。スウェーデン人はあまり自虐的なことは言わないと思っていた自分にはちょっとびっくりでした。

中国企業傘下となったボルボ

ここで、「ボルボは中国メーカー」に衝撃を受けた方に念のため説明いたします。元々現在のボルボ・カーズは大きなボルボ・グループの一部門として自家用車の設計・製造を手掛けていましたが、1998年にフォードに買収されたことで、現在のボルボ・カーズが設立されました。その後、深刻な経営難に陥ったフォード傘下のボルボ・カーズはスウェーデン政府に救済をお願いしたものの一蹴されてしまい、2010年に中国自動車メーカー大手の浙江吉利控股集団に激安で買収(フォードは64億ドルで購入したのに、浙江吉利はたった18億ドルで売却された)され、今日に至ります。
確かに憧れのボルボ自家用車は中国メーカーの傘下ですが、それ以外のボルボについては、今でもボルボ・グループとして、スウェーデンに本社を持ち、トラックや船舶のエンジン・工事用特殊車両をボルボ謹製として提供しています。

スウェーデンはマイカー社会か?

スウェーデンと日本、どっちが車は多いの?

2017年 Trafik Analysisによると、スウェーデンの自家用車の登録台数はおよそ480万台(4,845,609)で前年から約1.6%増加しています。近年、ストックホルム市内や周辺では渋滞が常態化しており、自家用車の増加が交通事情の悪化に拍車をかけているのかもしれません。
ただ、パッパも何度かレンタカーでストックホルムの渋滞には遭遇しましたが、正直なところ日本の横浜やと東京都内の「渋滞」よりもかなりかわいい、小規模な渋滞のようです。それもそのはず、スウェーデン全体で自家用車が480万台に対して、日本自動車検査登録情報協会によると平成30年11月時点でおよそ8200万台の車は日本を走っており、スウェーデンとは約16倍違うのですから、人口も車も日本は小さな国土にたくさんの人と車がひしめき合っているということです。

色々な車に対する考え方

ここでスウェーデンはマイカー社会かと聞かれると、都市部は非マイカー、郊外に住む人はマイカーだと言えるでしょう。このマイカー派と非マイカー派について、現在のストックホルムの交通・住宅事情、社会性なども交えながら説明します。

非マイカー派 理由その1

まず第一にストックホルムは公共交通機関が非常に発達しています。地下鉄・路面電車・長距離通勤電車・バス、そして島と島を繋げる定期船がストックホルム市街を網羅しているので、車よりも公共交通機関のほうが便利だったりします。もちろん、東京と比べたら正確性やサービスの面からも足元にもおよびませんが、ストックホルムはこれらのすべての公共交通機関を1つのSL社が運営しており、SL社の定期券を購入している人ならばすべての公共交通機関を使い放題なのは利便性だけでなく金銭的にも非常に親切なシステムです。(定期船については別会社は運営していますが、期間限定でSLの定期券を保持している人はタダで定期船に乗れます)

非マイカー派 理由その2

車を持たないスウェーデン人が必ず言及するのが駐車場です。日本でも同様に、大都市の中心で駐車場を確保するのは至難の業です。ストックホルムの場合には、自分の専用駐車場を所有するか、時間もしくは月極の駐車場を契約、最後は路上駐車となります。前者の2択はどちらも非常にコストが高く、すでに満杯のため確保するのが難しいのが現実です。そのため、多くの車所有者は路上駐車を行います。ストックホルムの路上は各通りごとに何曜日、何時から何時までは無料・有料で駐車可能など標識で示されており、駐車できることが前提となっています。ただ、その路上駐車場のスペースすら飽和状態のため、あまり夜遅く帰ってくると、自宅近く人駐車スペースが見当たらずに、何十分もスペースを探して車で徘徊するはめになるかもしれません。

非マイカー派 理由その3

最後に車を購入する際に必ず「買わない理由」として挙げられるのが税金です。スウェーデンでは、消費税のことをVAT(value-added tax)といいますが、車の購入時には一律25%の消費税か課せられます。

単純に100万円の車だと、25万円の消費税、200万円なら50万円の税金を払わなければいけないと思えば、自然と購買意欲は減退していきますよね?もちろん、そこには抜け穴もあります。それは、この消費税を避けるために、車の個人売買を行い課税対象から免れる方法です。ただ、この個人売買は書いて字のごとくやはり”個人”での売買のため、車の性能や機能の保証はしてくれません。車の仕組みを熟知している方なら、とても安く買う方法ではありますが、お勧めはされないでしょう。

パッパも車を買いたいと同僚に相談した瞬間、まず言われるのは「個人売買はやめておけ」でした。

マイカー派 理由その1

では、反対にマイカー派の理由について探っていきましょう。まず第一に必ず言えることは、公共交通機関がない郊外に住んでいる場合です。ただし、首都ストックホルムにしても、この”郊外”が日本の”郊外”とはけた違いなのです。ここはSjöängenというストックホルムから車で45分ほどの十分に通勤圏内の場所となりますが、写真の通り通勤のためには島と島を行き来する定期船に乗る必要があります。ストックホルムでは、駅近の住宅よりも、より自然が多い郊外に価値を見出す傾向が強いため、彼らにとって車はなくてはならない足なんです。

マイカー派 理由その2

大自然を愛するスウェーデン人で車が必須となる人々がいます。それは、船もしくは馬もしくはキャンピングトレーラーを持っている人々です。彼らにとって車は必需品の一つです。特にスウェーデンで船を所有している場合には、凍結する湖・海から船を引き上げないといけないため、自分で船を陸に退避させて、メンテナンスを行います。春にはまた自分で湖・海に戻る作業をするため、車は最低限の船のメンテナンスツールということになります。

マイカー派 理由その3

最後に3点目をご紹介したかったのですが、特筆すべき理由や背景は見つけられませんでした。強いて言えば、やはりスウェーデン人は車でより自然の多い場所へ行きたいと思う人が多いということでしょうか。夏は、ハイキングや釣りや湖へ出かけていきます。冬は冬で毎週のようにスキー場へいく同僚もいます。日本であれば、片道500kmなんてなかなかしないロングドライブのはずですが、こちらでは結構気軽にそのロングドライブをします。

一つの理由としては、スウェーデンの高速道路は日本のように有料ではないからでしょう。どこまでいってもガソリン代だけだせればOKってのはドライブをする気にさせてくれますからね。そして、そんな理由からでしょうか、中古車市場を見渡すとたった2・3年の新車同然の中古車が10万kmを超えていることもしばしばです。

環境重視のスウェーデンの排ガス規制

さて、マイカー派および非マイカー派のそれぞれの言い分が、住宅や交通事情、また文化によって異なることがお分かりいただけました?最後は、その自然を愛するスウェーデンにおける車の排ガス規制についてお話します。

ヨーロッパの排ガス規制とは?

スウェーデンはEU加盟国として、自動車による大気汚染物質の排出規制値を定めたヨーロッパ連合の欧州排出ガス規制に準拠しています。日本でいうなら、星マークで表す低排出ガス車認定制度と同等のものとなります。日本は2000年からこの低排出ガス車認定制度を始めましたが、欧州では1992年に最初のEuro1を制定したのちに、現在は最新のEuro6までを施行しています。

  • Euro1:1992年~
  • Euro2:1996年~
  • Euro3:2000年~
  • Euro4:2005年~
  • Euro5:2009年~
  • Euro6:2014年~

排ガス規制を使った新たな規制

現時点において、この欧州排出ガス規制は車に対する税金の多い少ないを定義するための指標にすぎません。そのため、免税対象になる一部の新しい車を買い急ぐよりも、ある程度値段の下がった中古車を購入するほうが利口とも言われてきました。ただし、ここからが自然を愛するスウェーデンの新たな展開があります。
それは、この欧州排出ガス規制をもとにして、古い車の一掃を図ろうとしているからです。日本でも一部観光地における自家用車の進入禁止措置を行い、環境保全に一役買っているかと思いますが、北欧諸国では、これを主要都市に展開しようとしています。

スウェーデンにおける主要都市の排ガス規制

2018年3月、スウェーデン政府が大きな決断をしました。2020年から各市町村が独自の判断でEnvironmental Zone(環境地域)を定義することを正式に許可したのです。このEnvironmental Zoneには許可を得た車両しか入ることができない仕組みが検討されており、当分の間はEuro5とEuro6に合致するディーゼル車は入場可能と言われていますが、2020年6月からはEuro6のディーゼル車しか入場できなくなるとも言われています。
この規制が実際に施行された場合には、ストックホルム近郊だけでも5万台以上の非適合なディーゼル車を生み出してしまうことに、さすがに自然を愛するスウェーデンであっても、非常に熱い議論は今でも行われています。

まとめ

スウェーデン国旗を全面に出すほどのボルボが実は中国企業の傘下であったこと。そして、同じスウェーデン人でも、都会派と田舎派でマイカーライフに違いがあることをわかっていただけたでしょうか?最後に、スウェーデンだけでなく、欧州全体の車事情を説明することによって、自然保護先進国と言われる北欧の覚悟を垣間見ていただけたと感じてもらえたなら、これ幸いです。

色々な規制からも確かに車を持つこと自体はエコではない自然に良くないのは重々承知していますが、家族のいるパッパとしては買い物、習い事のお迎え、もっと広範囲に遊びにいける足をぜひ持ちたいと強く思う今日のこの頃です。

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